私の名前は東条麗華(とうじょう れいか)。周りからは『才媛』とか『才色兼備』な〜んて言われて騒がれている。
容姿に関しては、親に感謝してるわよ?
でも学力は自分の努力の賜物なんだから、頭が良くて当然でしょ?
何にもしないで「いいわね」「羨ましい」なんて言う人たちの気が知れない。「いいわね」と言う前に、自分で努力しなさいよ! ……って言ってやりたいわ。
頭が良くて、美人で、行動力があって、気が強くて……全くと言っていいほど可愛げの無い私。(悪かったわね!)
でも1つ下の妹は、とっても素直で可愛くて……私が母親の胎内に忘れてきたものを、全部持って産まれてきたような子なのよ?
そう。菜摘は私の、自慢の妹なの。
4組の藤田が菜摘に告白した、って聞いたときはアイツを呼び出して確認したわ。
可愛い可愛い菜摘に、いい加減な気持ちで付き合ってほしくなかったからね……。
私がキツイ話し方をしても、藤田は真剣な目をして「本気で好きなんだ」って返してきたから……だからアイツを信用したのよ。
それなのに……
* * * ☆ * * * ☆ * * * ☆ * * *
「菜摘、藤田君から電話なんだけど?」
「……居ないって、言って……」
落ち込んで、元気の無い菜摘。藤田とも会ってないみたい。
「あんたねぇ……携帯切って、居留守使って……いったいどうしたの!?」
「お姉ちゃんには言いたくない」
「藤田君と付き合ってんでしょ? 喧嘩したの? なら、ちゃんと仲直りしなさい」
「喧嘩じゃない……喧嘩じゃないもん! そんなレベルじゃないもん!」
「な、つみ?」
「お姉ちゃんなんて大嫌い! うわぁぁぁぁん……」
こんなの初めてだったわ。菜摘に「大嫌い」なんて言われて泣かれるなんて!
もう、ショックなんてもんじゃなかったわよ?
「…ふ〜じ〜た〜〜」
絶対アイツが悪い!
そう思った私は、すぐさま菜摘の部屋から出て藤田を呼び出した。
* * * ☆ * * * ☆ * * * ☆ * * *
あれから菜摘たちは上手く行ってるみたい。
私が可愛がらなくても、藤田が充分に可愛がってくれるでしょうから……もう菜摘のことはアイツに任せることにするわ。
―― 本当はイヤなんだけど、我慢しなきゃ……ね?
妹の方が早く彼氏を見つけるなんて、ちょっと癪なんだけど……この私よりも“しっかりしている”男が居ないんだもの、仕方ないわ。
『男気があって、カッコ良い奴』っていうのが、私の理想vv
ホント、どこかに居ないかしら……
― End.―