番外編1

目撃者

≪野々村真紀(吹奏楽部1年、アルトサックス)≫

 あの日。

 いつものように音楽室に居た私は、ちょうど裕美の隣で楽器の用意をしていた。

 稔先輩が、裕美を見つめながらコッチに来るから「先輩どうしたの? え、何?」ってゆう言葉で、頭の中が一杯になっていた。

 そこへ爆弾発言ってゆうか……まさかの、稔先輩からの告白!!

 

 すぐ傍に居たから、す・べ・て・ハッキリと聞こえちゃって、ホントにビックリして……
柄にもなく、「うっそー」なんて叫んじゃったわよ。

 裕美が「はい」って返事した途端に、2人が目の前で抱き合っちゃって……ホント、あのときの驚きは半端じゃなかったわよ?

 あんなに大事に扱ってたサックスを、落としかけたくらいなんだもん。

 『先輩が、いつの間に裕美のことを好きになったのか!?』が、未だに解けない謎なんだけど……でも裕美の初恋が実って、本当に良かった。

 おめでとう、裕美♪

 

 

 唯一、悔やんでいるのは……あの卒業式に参加できなかったこと、なのよね……。

 私も先輩たちを見送りたかったんだけど、家庭の事情で無理だったの。

―― 弟たちが揃って熱を出して、母1人じゃあ病院に連れて行けなくって……

  

 私も稔先輩の、とんでもない答辞を見たかったな〜

 「聞きたかった」って言わない所がイイでしょ?(笑)

 

* * * ☆ * * * ☆ * * * ☆ * * *

 

≪北野雄大(吹奏楽部1年、トロンボーン)≫

 あの日。

 日直だった僕は、部活に遅れて行ったから……音楽室での出来事(ってゆうか、事件?)は、あの場に居合わせた皆から聞いた。

 もう少し早く来れていたら、あの場を目撃できたのに〜 なんて悔やんだりしている僕。(裕美ちゃん、ごめんね!) 

 そんな僕が不思議に思っているのは、『稔先輩が、いつの間に裕美ちゃんのことを!?』ってゆうことなんだけど……

―― もしかしたら、あの合宿の『肝試し』が切っ掛け、なのかな??

 

 稔先輩は、いつもキリッとしていて、堂々としていて…僕の憧れの先輩なんだ♪

 でも、あの卒業式にはビックリさせられたなぁ。先輩が、あの場で、あんなことを言うなんて!

―― さすがというか、何というか……(苦笑)

 

 先輩、心配しなくても大丈夫ですよ♪

 僕たち吹奏楽部員の皆が、裕美ちゃんのことをしっかり守りますから。安心して大学生活を送ってくださいね。

 

 

― End.―

2009.05.08. up.

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