拍手御礼ss
≪康裕のマンションにて≫
「友達には『優しい歯医者さんだよ♪』って紹介されたんだよ?」
「ふーん?」
「だから安心してたのに、アレは……ちょっと怖かったな……」
「優しいのは、兄貴の方だ」
「……お兄さんの方?」
「“優しくない”俺が担当医で残念だったな」
「違うの! そうゆう意味じゃなくて、ただ……」
「悪いが、俺はこういう性格なんだ」
「違うって言ってるのに! ちゃんと聞いてよー」
「何なら“優しい”兄貴に乗り換えるか?」
「なんで!? ……なんでそんなこと言うの!?」
「俺は、兄貴みたいに優しくないから」
「やだぁ……私、センセが好きなのに……」
涙目になって必死で言葉を伝えようとする美緒。
その姿を見ながら、康裕は心の中で呟いていた。
こんなに嫉妬深いとは思わなかった。(兄貴に嫉妬するなんて……)
こんなにサドだとは思わなかった。(美緒の涙が見たいなんて……)
美緒ごめん。この性格、たぶん治らない。
諦めてくれ。
あとで、たくさん甘えさせてやるから。
「もういい」ってくらい優しくするから。な?
― End.―