コトの始まりは

（プロローグ）

えぇっと…私・羽山香織（はやま　かおり）は、短大を卒業してから保育園で３年間働いて…腰を痛めて退職しました…（泣）

この若さで『腰痛持ち』は辛いです。

整骨院の常連さんに、なってしまいました。

お爺ちゃん・お婆ちゃんたちとも、仲良くなりました。

妹にまで「私よりも年上なんだから、お大事にね〜」なんて言われて… 

　　　　「『年上』って言うけど、たった『１つ』じゃないの！」

　　　　「でもね、カオちゃん。その『１つ』が大きいのよ？」

私は今まで『お姉ちゃん』て呼ばれたことが無いの。いつも『カオちゃん』。

妹よりも背が低くて、顔つきも幼い私…。

中学生の頃なんだけど…『チィちゃん』『カオちゃん』って呼び合ってたら、知らない小母さんに叱られた。

「ちょっとあなた、『お姉ちゃん』って呼ばないとダメでしょ？」って。

妹が「ごめんなさい」って言ったら、「あなたが妹だったの！？」って……

ホント失礼だと思わない？

そりゃあ妹の方が、しっかりしてるわよ？

でも、それにしても…あんまりだわ！

私は、年相応に見られたことがない。

それが一番の悩みなんだ…

保育園には３月３１日まで勤めて…翌４月１日から２週間は、自宅でノンビリと過ごした。

その後は、積極的に就職活動をしたんだけど…これが、なかなか厳しい。

　…新卒だって厳しいんだから、仕方ないんだろうけどさ〜

私が持っているのは、幼稚園教諭免許と保育士資格、英検３級。

履歴書の『特技・資格』欄に書けるのは、この３つと…ピアノ演奏だけ。

　　　腰に負担がかかるような職種は避けたい

　　　普通に会社勤め（事務とか）をしたい

そう思っていても「じゃあ何ができるの？」と聞かれると、返答に困ってしまう。

　…私に、何ができるんだろうか…

ハローワークにも通ったけど、「この他にも、何か特技や資格があればねぇ…」なんてことを言われてからは、行かなくなってしまった。

やっぱり簿記とか珠算とか、何か資格を持ってた方がいいの？　…なんてことを思いながらも新聞の求人広告欄を見ては面接して…というのを繰り返し、全てに『ご縁が無かった』。

唯一の収穫は…どの会社に行っても必ず「パソコンできますか？」と質問されたこと＝今はパソコンできなきゃダメだ！と分かったこと…だった。

そんな私に、幸運の神様（？）が…