女なんて皆同じ

(10.琢磨)

 

 

大恋愛の末に結婚したにも関わらず、気持ちが離れ…浮気して…離婚して……

 

中学生の多感な時期に、父親と母親が罵りあう姿をさんざん見てきた俺。

「どっちでもいいから、早く決めれば?」

親権を争う頃には、冷めた高校生になっていた。

 

 

 

母親が出て行った翌月、父親が再婚したのは…俺の顔を見て頬を染めるような若い女!

 

無性に腹が立った。

「俺の母親になるつもりで来たんだろ!? 色目を使うな!」

そう言って怒鳴ってやりたかった。

でも浮かれた顔の父を見ていると、バカバカしくなってきて……

「アパートを借りて、独り暮らしをしたい」

気がついたら、そう言っていた。

 

反対するかと思っていた父は、あっけなく承諾した。

俺が切り出すのを待っていたかのように…その場で話が決まった。

 

 

* * * ☆ * * * ☆ * * * ☆ * * *

 

 

その頃、既に182cmあって周囲からも目立っていた俺は、よく告白された。 

ほとんどは、俺の見た目にしか興味が無い女たちからだった。

「クールでカッコ良くて、一緒に歩くのに最高だもん♪」

 

それなら俺も、見た目で選ぼう。

中身なんて関係ないんだろ?

だったらセフレで充分だ。

 

中には真面目な子も居たが…彼女なんて要らなかったから、断った。

『愛』なんて、信用できなかった。

好きだの何だの言ったって、結局ヤることは同じ。

感情なんて要らない。

お互い、その時を楽しめたらいい。

 

それ以上のものは…何も要らない…

 

 

* * * ☆ * * * ☆ * * * ☆ * * *

 

 

就職してからは「社内の女とは付き合わない」と言って断ってきたが

「じゃあ、辞めたら付き合ってくれるんですね?」

そう言って、辞める女もいた。

 

呆れて、ものも言えない。

俺は「辞めたら付き合う」なんて言ってない。

「お前は、何の為に就職したんだ?」と、逆に聞きたいくらいだ。

仕事に支障をきたすような、そんな女は要らない。

だが上層部は…俺の所為で女子社員が辞めていく、と…そう判断した。

本当にバカバカしい。

俺は何もしていない!

誘いを『断った』だけだ!

 

 

 

会社に嫌気が差してきた頃。

俺は、大学の後輩が起業するのを聞きつけ…そこへ再就職することにした。

 

でも根底に在るモノは…『女なんて皆同じ』

 

俺は、ずっとそう思っていた……

 

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