お料理一年生♪

― 香織 vs 千尋 ―

 

琢磨さんに「仕事を辞めるか?」って聞かれたんだけど…せっかく頑張って勉強したんだから、辞めたくないの。

それに、最近は仕事が楽しくなってきちゃって…「結婚しても、このまま勤めたい!」って思ってるんだ♪

でも・・・お料理が作れるようにならなきゃ、ね。(琢磨さんも「簡単なのは作れる」って言ってたけど…)

 

《香織side》

  ▲月◎日

 

 なぜか包丁が怖かった。自分が持つのも、人が持ってるのを見るのも怖かったから…調理実習のときは『食器を出して洗う係り』に徹していた。包丁の傍に居たくなかったから、『煮炊き』さえ、したことも無かった。

 でも原因が分かった今は、それを克服したい!ってゆう気持ちでいっぱいなの。だって…お料理ができないままじゃ、イヤだもん。

 まずは『包丁に見慣れる』ことから始めよう♪

 
 

 

《千尋side》

  ▲月◎日

 

 「なんでカオちゃん、お料理しないの?」って…漠然と思ってた謎が、やっと解けた。

 カオちゃんが『やる気』になったのは良いと思うし、私も応援するよ?

 でもね! いくら『慣れるため』だからって、食卓の上に包丁を置きっぱなしにしないでよ! 私がどんなにビックリしたか、分かってる!?

 お母さんはニコニコして見てるだけで、全く動じてないけど…私は寿命が縮まったわよ。

 
 

 

  ▲月◇日    初めて包丁で食材を切る!!

 

「カオちゃん、ちゃんと『猫の手』にしないとダメだってば!」

「猫の手…?」

「昨日、いっぱい練習したでしょ! アレをしないと手を切っちゃうよ!?」

「……えぇっと……こう、だっけ?」

「もっと指の間接を曲げて、まぁるくして………うん、そうそう」

「…難しいんだね…」

「…慣れようね」

 
 

 

  ●月×日    初めて野菜炒めを作る!!

 

「きゃー! チィちゃん、油が跳ねたー」

「油を入れすぎ! 火が強すぎる!」

「だって『野菜炒めは、強火で手早く炒めるのがコツ』なんでしょ?」

「そんなの初心者には無理なの! 『手早く』なんて、できないでしょ? 早く火を弱くしないと、野菜が炭になっちゃうよ!?」

「やだ〜〜!」

「ほら、落ち着いて。慌てて火傷しないでよね?」

 
 

 

  ●月▼日

 

 まだ包丁への恐怖心は少し残っているけど、だいぶ扱えるようになってきた。

 今日は初めて『カレー作り』に挑戦♪ 肉と野菜を切って、炒めて、市販のルーを入れて、良い匂いがしてきて……………焦げた!

 途中までは上手くいってたのに…。なんで、こうなっちゃうの!?

 
 

 

  ●月▼日

 

 今日、カオちゃんが初めて『カレー作り』に挑戦した。ずっと傍で見ていたいのを、グッと我慢して…要点だけ教えて、他の用事をしていた。

 で、心配していたとおり(?)見事に焦がしたカオちゃんは…今にも泣きそう。

 「ルーを入れたら弱火にしないと、焦げちゃうよ」って言ってたんだけどなぁ…

 
 

 

  ●月■日    初めて米を研いでご飯を炊く!!

 

「お米は、きっちり量ること。3合炊くときは、お米を3合量って…炊飯器の『3』の目盛りまで水を入れる」

「じゃあ4合炊くときは、4合量って『4』まで水を入れる。6合炊くときは…」

「ウチの炊飯器は5合炊きなの。6合なんて無理だよ」

「え、炊けないの!? …根性無いのねぇ…」

「いや…炊飯器に『根性』を求めること自体、間違ってるし。それにウチは3人家族だから、必要な分だけ炊けばいいでしょ?」

「…そだね。じゃあ米を洗おうかな〜」

「洗う!? 米は『洗う』んじゃなくて『研ぐ』なの! まさか洗剤で洗う気じゃ…」

「まさか! 実技はダメだけど、知識は有るよ? 言い間違えただけだってば〜」

「…あービックリした…」

 
 

 

  ●月★日    初めて味噌煮を作る!!

 

― 鍋の中を覗いた2人は、固まった ―

 

「チィちゃん…お鍋の中で、魚が泳いでるよ…」

「カオちゃん…分量、間違えちゃったんだね…」

「味噌汁としては、イイ出来だと思うんだけどな〜」

「じゃあ今日の献立は『鯖の味噌汁』に変更する、って言うの?」

「ダメかなぁ」

「今日、清水さんが夕飯を食べに来るんだよ。分かってる?」

「分かってるけど……捨てるの勿体無いんだもん」

「まぁ…カオちゃんが作ったモノなら、彼は喜んで食べるでしょうけど」

「チィちゃんッ!」

「冗談だってば♪(…でも、絶対に喜んで食べるって!)」

 
 

 

この2ヶ月間、料理の指導をしてきて、カオちゃんの上達ぶりを見てきた感想?

…イイんじゃないかなぁ。随分がんばってたもん。あとは『慣れ』だよ、『慣れ』♪ by千尋

 

 

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