期待&不安

(優希side)

 

 

私は大学を卒業して、情報処理の会社に就職した。

これでもプログラムとか組めるし、ブラインドタッチもできるし、家族も賛成してくれたし…ね。

新入社員研修も終わって、やる気満々の私に出た辞令は『総務課』。

 

総務課?

プログラム組ませてもらえないの!?

 

紹介されたのは40代の、とっても人の良さそうな総務課長さん。

「総務課に配属されました、池永優希(いけなが ゆうき)です。よろしくお願いいたします」

「私は課長の大橋(おおはし)です、よろしく。それじゃあ早速、行きましょうか」

課長に連れられて、ビルの中を進んで行く。

「あの…総務課のお仕事って、どんなことをしたらいいんでしょうか?」

「お客様にお茶を出したり、営業から入った連絡を繋いだり…」

「はい…」

「出張費や経費の計算をしたり、副社長のスケジュール管理をしたり……」

「副社長のスケジュール管理も、ですか?」

「この会社は創立3年目で、まだ若いからねぇ。現存するのは『営業』『人事』『開発』『総務』だけなんだよ」

 

会社概要は耳タコできるぐらい、よーく存じておりますが…

 

「…だから『総務』は何でも屋みたいなもんかなぁ」

「何でも屋ですか?」

「そうそう。『営業』『人事』『開発』で、やること以外の仕事を全部引き受けてる。これがけっこう大変なんだよね〜ハッハッハ」

 …はぁ……

 

課長……お願いですから、笑いながら言うのはヤメテください。

あなたのように大らかな人の下で働けるのは、とても幸運だと思います。

そりゃあ1年目から仕事をバリバリやらせてもらえるとは思っていませんでしたよ。

でも「何でもやります」みたいな所で…いったい何をやらされるんでしょうか…

 

不安だわ…

 

 

* * * ☆ * * * ☆ * * * ☆ * * *

 

 

社長と副社長 ―― 藤堂俊介(とうどう しゅんすけ)・藤島庸一(ふじしま よういち) ―― は共に27歳、高校時代からの親友。

大学在学中に開発したパソコン向けのソフトが大当たりして、卒業後に…『株式会社 T&F』を設立した。

私との年齢差は、5歳。

でもこの違いは、凄いと思う。

 

藤堂社長のスケジュール管理は、秘書の鈴川(すずかわ)さんがされているが

藤島副社長のスケジュール管理は、私が担当することになった。

副社長は、今まで全て自分で管理していたそうで

「これでやっと仕事に集中できそうだ。任せてよかったよ。サンキュ♪」

 …誉められてしまった…

 

 

スケジュール管理や他の仕事にも慣れてきた1年目の秋に、「あの人」が現れた。

 

 

 

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