姫の反乱、再び

(俊介side)

 

 

≪退院当日、自宅マンションにて≫

 

 

「優希、ただいま。…………お前、まだ居たのかよ」

「お兄ちゃん、お帰りなさい♪」

「お帰り、お疲れさん」

なんとか仕事を定時で終わらせて帰宅したら、2人がソファに座っていた。

 

 

「なんでお前が此処で寛いでんだ?おまけに、優希の腰に手まで回しやがって…

この家の主みたいな顔して座ってんじゃねぇよ!、とヨシに向かって言っても

「藤堂が帰ってくるまで、優希独りじゃ寂しいだろ?」

涼しい顔して応えやがる。

 

「あのね、お兄ちゃん。クリスマスは義人さんと一緒に過ごすんだけど…」

優希が、数日後に迫っているクリスマスのことを話し始めた。

俺は、本当は…許可したくなかった。ヨシと2人きりなんて!

だが恋人同士が会えないのも可哀相か、と思い直したから不承不承許可した。泊まりはダメだ、という条件付きで。

なのに…まだ何かあるのか?

 

「…そうだったな。で?」

とにかく話を聞こうと、優希の方を向いて話を促したのに

「優希と一緒に暮らしたい。年が明けたら入籍して、式は2月か3月に…」

「何!?」

 

なんでお前が答えるんだよ!

しかも入籍!?式だと!?

 

「ちょっと待て!そこまで話が進んでるのか!?何を勝手に…」

「お兄ちゃんは反対なの?私…結婚相手は、義人さんしか考えられないの」

「僕も…生涯を共にできるのは、優希だけだよ♪」

「オイそこ見つめ合うんじゃない!ヨシ、優希を放せ!優希、ヨシから離れろ!」

 

勝手に2人の世界に入るんじゃない!

コラ、俺の存在を忘れて抱き合うな!

 

 

「……なんでそんなに急ぐ必要がある?」

「じゃあ聞くが。…互いに『この人しかいない!』と決めているのに、何故、先に延ばせと言う?僕も優希も大人だ。年齢的にも問題無いじゃないか」

「準備だって、いろいろあるだろ?」

「何の準備だ?妹はもう結婚して母と一緒に暮らしているし、僕は独りでマンション住まいをしている。…極端に言えば、明日からでも優希と一緒に暮らせるぞ」

「明日!?」 

「極端に言えば、だ。お前が気にしているのは、ご両親のことなのか?父上が仕事の調整をして一時帰国できるように『式を2月か3月にしよう』と言ったんだ。
それとも…ご両親は、僕たちの結婚を反対するとでも言うのか?」

「反対も何も…あの2人は、優希が付き合っていることさえ知らないぞ」

それをイキナリ結婚だなんて!

どう説明すりゃあいいんだ?

 

「藤堂、お前は…反対なのか?」

「私は義人さんと離れたくないの。今すぐにでも一緒に暮らしたいくらいよ?
…反対したら家出するわ!」

「優希…そこまで僕を想ってくれるのは嬉しいけど…なにも家出しなくても…」

「!!!!」

あの純粋で可愛い優希は何処へ行っちまったんだ!?

 

反対しねぇけどさ…兄ちゃんは寂しいぞ…

 

 

― End.―

 

 

 

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