続編

恋しくて、せつなくて…(1)

【裕美】

 2年生に進級して、真紀と同じクラスになった。

 吹奏楽部には、新入部員が7人も! 入ってきた。そのうちの1人は高等部1年(外部受験生)なんだけど、中学の部活でホルンの経験がある。

 「学先輩が卒業して、どうなることかと思ってたけど……これでホルンも安泰だな」と雄大くんが言うように、即戦力になれる頼もしい男の子。

そしてクラリネットの新入生は可愛い中等部1年生の女の子で、美香子先輩が指導してくれている。私より背が高い子なんだけど、とっても初々しいのよ?

 そんな彼女に「裕美先輩」なんて呼ばれると、嬉しくって気恥ずかしくって……頬の筋肉が緩みっぱなしなの♪

 

 新しいクラスにも馴染んできたし、真紀の他にも『親友』と呼べる友達もできたし、それに部活も楽しい。

 私の学園生活は、とっても充実していると思う。

 だけど……目は無意識に彼の姿を探している。似たような声が聞こえると振り向いてしまう。

 

 ココにはもう稔先輩は居ない、って分かってるのに……

 

* * * ☆ * * * ☆ * * * ☆ * * *

 

 あの学年末考査の最終日。初めて稔先輩に、私の正直な気持ちを伝えた。寂しくて寂しくて堪らなかったこと、会いたくて会いたくて仕方なかったことを…… 

 感情ばかりが先走って要領を得ない私の話を、先輩はちゃんと聞いてくれて、「我慢しないでいいから、僕に何でも話してほしい」なんてことまで言ってくれた。

 

「そんなこと言われたら、ものすごい我が儘を言うかもしれないですよ?」

「裕美は甘えん坊だけど、我が儘じゃないよ。まぁ……僕には、多少なりとも我が儘を言ってほしいと思うけどね」

「?? ……我が儘を言ってほしい、って……変じゃないですか?」

「言いたいことも言えなくて、どんどん内に溜めていって最後には爆発して、そして……修復もできずに別れてしまうの? そんなの、僕は嫌だな」

「えっ! そんな……私もイヤです!」

「じゃあ、ちゃんと自分の気持ちを言うこと。約束だよ?」

「……はい」 

 

 それからは毎日のメールや電話で、その日の出来事とか気持ちを話している。

 

* * * ☆ * * * ☆ * * * ☆ * * *

 

 先輩は大学の勉強だって大変なのに、それでも私と会う時間を作ってくれる。「次の日曜日は、朝から会えるよ」と言われたときは、舞い上がるほど嬉しい!

 稔先輩と一緒に居るときは、幸せな気持ちでいっぱいになる。

 会えないときは、『好き』の気持ちがどんどん膨らんでいく。

 

 恋しくて、会いたくて、会えなくて、せつなくて……会えたときはとっても嬉しくて…… 

 先輩も、私と同じですか?

 

2009.07.17. up.

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