試行錯誤の日々(08.香織)
清水課長は、すぐさまキーパンチャー募集の件で人事課へ行った。 私は放心状態のまま、室長の席へ座った。 …三日前まで高峰さんが座っていた場所…
入社して間もないのに…突然、責任あるポジションを任されて…不安と重圧に、押しつぶされそうになる。 だけど…いつものように入力作業をしている、5人の後姿を見ているうちに…「やっぱり私がやらなきゃダメなんだよね…」って思えるようになってきた。
ベテランの渡部さんが辞めてない!というだけでも、心強く思えた。
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私は…当然だけど、高峰さんみたいに…あんなふうにテキパキと動けない。 マニュアルを見て、手順を確認しながらの作業は…とても時間が掛かる。
課長が持ち帰った原稿を受け取り、仕分けする 入力し終わった原稿を集め、ベリファイまで済んでいるか確認する ホストコンピューターに入力されたデータを媒体に入れる 元の原稿とデータを、課長に渡す…
仕分けするときは、原稿の順番を狂わせないように気をつけないといけない。 そして分けるときは渡部さんに「いつも、どれくらいの量だったの?」と聞いた。 (数字入力だけの原稿、プログラムなどの英字入力の原稿、漢字入力の原稿…いろいろあるけど、15分ほどで入力し終えるくらいが適量なんだって)
それが切っ掛けで、彼女が私の相談相手になってくれて…本当に感謝してるvv
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あの日から、10日が経過。
清水課長のおかげ(酉島課長のおかげかも?)でキーパンチャーが6人増えて、11人になった。 新しく入った人たちは経験者ばかりだった。 『室長』なんて、偉そうな役職名が付いていても…私は本当に新米で……。 だからベリファイも安心して任せられる彼女たちは、とても頼りになった。
「納期は大丈夫か?絶対に守れよ」 毎日のように、清水課長から言われた。 それでも納期が間に合わないと思うようなときは…課長が依頼主に交渉したり、『外注に出す』という判断もしてくれた。 そのうちに私も、納期が早いJOBから順に入力していけるように……という采配ができるようになってきた。
就業時間中は、JOBを間違えないように注意しながら作業するだけで精一杯だったから…毎日8時まで残って、原稿の仕分けをした。 新規の原稿が入ると、清水課長が入力用のプログラムを作ってくれる。
私は、周りの人に助けられながら…なんとか『室長』の仕事をしていた。 |
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